2022年5月19日木曜日

幸福をもたらすもの

 「われわれの前に立つ巨大な危機は、環境危機ではありません。政治の危機なのです。現代に至っては、この大きな危機をもたらした大量消費社会を政治はコントロールできていません。逆に、人類が消費社会にコントロールされているのです。わたしたちは、発展するために生まれてきたのではありません。幸せになるために、この地球にやってきたのです。発展は、幸福を阻害するものであってはいけないのです。発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。愛を育むこと、人間関係を築くこと、子どもを育てること、そして必要最低限のモノを持つこと。発展は、これらをもたらすべきものです。」(ホセ・ムヒカ ウルグアイ大統領)

「あなたがスーパーで買い物をするとき、あなたが払っているのはお金ではなく、あなたの人生の時間なのです。」(ホセ・ムヒカ ウルグアイ大統領)


2022年5月7日土曜日

殴る前にできたこと

 私は在宅介護をしているが、どうしても苛立ちがつのる時がある。その心理をみつめてみると、諸々の事柄への無力感である。とりわけ解決するためのコミュニケーションがとれない苛立ち、つまり理解しきれない自分への怒りだ。さまざまな怒りや苛立ちの背後には、相手を救えない自分への無力感があるのではないだろうか。だからこそせめて、相手を社会につなげる一歩を、踏み出す必要がある。 

ーーー  田中優子 「週刊金曜日 1360号」


群衆

 かつて政権を支持したあるいはかつて政権を支持しなかった自分は、何を根拠に支持/不支持だったのか、かつての自分は何であったのかーこの自らに振り向けられる内省の問いがない限り、主権者など存在しようがない。それがない限り、存在するのは、その時々のスペクタクルによって振り回される、換言(かんげん)すれば、広告屋と組んだ権力者がいとも簡単に操作できる群衆がいるだけだ。

ーーー 白井聡 「主権者のいない国」

無惨な有り様

 命ぜられた通りに「鬼畜米英!」と叫んだ同じ口が、命ぜられた通りに「民主主義万歳!」と唱え、「アメリカは素晴らしい!」と唱和するというこの光景の相変わらずの無惨な有り様、それが同じ空間を共有する人間として私には端的に我慢ならないのである。

ーーー  白井聡 「永続敗戦論 」