2020年3月24日火曜日

新しい「文明」

新しい「文明」に素早く適応する日本人のお家芸は、同時に私たち日本人が「ふらふらして、きょろきょろして、自分が自分であることにまったく自信が持てず、最新流行の世界標準に雪崩を打って飛びついて、幣履を棄つるが如く(へいりをすつるがごとく:破れた履物を捨てるように、何の未練もなく捨て去ることのたとえ。)伝統や古人の知恵を捨て、いっときも同一的であろうとしないというほとんど病的な落ち着きのない」(内田樹『日本辺境論』から) 体質からつくられたものであるかもしれません。
  ---  池田清 『神戸 近代都市の過去・現在・未来』から

西洋の開化(すなわち一般の開化)は内発的であって、日本の現代の開化は外発的である。ここに内発的と云うのは内から自然に出て発展するという意味でちょうど花が開くようにおのずから蕾が破れて花弁が外に向かうを云い、また外発的とは外からおっかぶさった他の力でやむをえず一種の形式を取るのを指したつもりなのです。(略)こういう開化の影響を受ける国民はどこかに空虚の感がなければなりません。またどこかに不満と不安の念を懐(いだ)かなければなりません。それをあたかもこの開化が内発的でもあるかのごとき顔をして得意でいる人のあるのは宜しくない。それはよほどハイカラです。宜しくない。虚偽(きょぎ)でもある。軽薄でもある(夏目漱石)

2020年3月7日土曜日

キャッチフレーズ

安倍首相 キャッチフレーズ内閣のあゆみ

「危機突破内閣」 2012年12月
「三年間抱っこし放題」 2013年4月
「働き方改革」 2016年8月
「ニッポン一億総活躍」 2016年6月
「すべての女性が輝く社会」 2017年6月
「結果本位の仕事人内閣」 2017年8月
「国難突破解散」 2017年9月
「人生100年時代」 2017年9月
「人づくり革命」 2017年6月

 --- 望月衣塑子 古賀茂明「独裁者」から

2020年3月4日水曜日

未必の故意

そもそも東京電力・福島第一原発事故の直接の誘因は2006年の第1次政権の時、安倍晋三が原発の津波冠水等への予備電源の必要性を平然と否定したことだ。その結果たる人類史上空前の核破局隠蔽のため、依然続く「原子力緊急事態宣言」下、世界を欺(あざむ)いて招致した醜い「東京五輪」に固執し、ついには現在、底知れぬ脅威の新型コロナウィルスについても、当初これを奇貨(きか)とする「憲法改正」の妄執(もうしゅう)までが綯(な)い交(ま)ぜとなった”未必の故意”の感染拡大をもたらしているのが安倍政権である。

もとより「戦後」最悪の安倍政権は他の悪政・不正も枚挙に暇(いとま)がない。だが何より一国の為政者として二度も、かかる戦争級の危機をもたらした独裁者をなお現在の地位に留め続けるなら、日本の「主権者」もまた人類史上空前の愚民との譏(そし)りを免れまい。理性皆無の国家崩壊が、加速している。

--- 山口泉 肯(うべな)わぬ者からの手紙 週刊金曜日1270号 から


2020年3月3日火曜日

2016年の都知事選挙

 某テレビ局の開票特番で公表されたアンケート結果では、候補者への投票理由として一番に挙げられたのが「政策」だった。
 有権者が一番の投票理由に「政策」を挙げるのであれば、なぜここまで具体的な政策を掲げる中川が1万6584票しか取れないのだろう。そして、ふんわりとしたスローガンにしか見えない「主要3候補」の得票だけが伸びたのだろう。本当に有権者は「主要3候補」以外の政策も見ていたのだろうか。
ーーー 畠山理仁 「黙殺」から

2020年3月1日日曜日

目くらまし

 『花神』なんて小説がいかに間違っているかというと、侍同志でドッテンバッタンやっていることばかり書いているんだが、あの時期には百姓一揆がぐんぐん大きくなっているんだよ。それが全然出てこない。慶応3年なんて、ほとんど全国的に百姓一揆が起こっている。フランス革命と似たようなものが起こりそうになっているんですよ。それだから侍がああして荒れているんですね。高杉晋作にしても坂本龍馬にしても若死をするくらい焦りに焦っている。なぜああいう頭のいい連中があんなに焦っていたかっていうことですよ。 
 百姓一揆が全国的に起こって、革命が起きれば、武士階級なんてなくなっちゃうんだからね。武士階級を救うために徳川幕府を犠牲にしなけりゃならない。武士階級を救うためには天皇でもいいじゃないかという考え方だ。百姓一揆と町人の打ち崩しを”ええじゃないか”っていう方向へ巧みに誘導する。これは今、万国博覧会とか野球なんかに誘導しているのと似ているんですよ。大衆が何かを求めている、その本当の方向に到達しないように、考えることができなくなるようないろんな誘惑をやるわけだ。

ーーー 『羽仁五郎の大予言』から 

発行部数や社員を守るために

日本では選挙のたびにつまり世論調査のたびごとに、”わからない”という人の数が非常に多いというんだね。30パーセントに近いんだからね。それから、選挙のたびに与党が勝っちゃうんだよね。これが彼ら(国際新聞経営者協会の大会での西ドイツの新聞の代表)にはわからない。その原因を彼は「日本の新聞の中立性にある」といって指摘している。つまり新聞は党派を明らかにすべきだとね。新聞が中立では、国民に判断の仕様がないんだよ。Don't Know「わからない」という率が日本では異常に高くなるのも当然なんだよ。


日本の新聞はこの前の戦争のとき、発行部数や社員を守るために、批判もできずに戦争に協力した。朝日、毎日、読売の記者諸君は、戦争中の新聞を取り出して一度読んでみたらいい。

ーーー 『羽仁五郎の大予言』から