2023年3月29日水曜日

官僚政治

多くの人たちの頼みごとを政治の上に、どんどん反映させようと努力すると、世間では「陳情政治」と批判する。代議士の中でも、ひとたび当選すると選挙区の方に背を向け、まるで中央官庁の代弁者気取りで、陳情に冷淡なものがいる。民主政治から陳情を除いたら、そこに残るものは、明治のはじめから築かれてきた官僚政治しか残らない。お役所という官僚の安住の地で考えられる政治は、大部分は彼らの勢力拡大の政治である。国民の税金で公団や公社をつくると、その幹部の大半はお役人。ある事業に許可を与えると、古手のお役人が何らかの形式で就職している。身を守ることに本能的に得意な彼らの頭脳から生まれる政策なり政治が、国民の多くの満足を得られるはずがない。

---    #大野伴睦回想録 #2021/03/25

2023年3月23日木曜日

校則のメッセージ

 校則が持つ、隠れたメッセージはこうだ。みんなと同じように振る舞え。秩序を乱すな。変に目立つな。外見で個性を出そうとするな。作文で褒められる程度の個性でいろ。他人に面倒をかけるな。大人が求める「いい子」でいろ。
 校則にはさらなるメッセージがある。理不尽には慣れろ。権威に従え。長いものには巻かれろ。文句を言うな。声を上げるな。周囲の人間が「ふつう」から逸脱(いつだつ)していないか、それぞれが監視し合え。

 理不尽な校則を見直そうをいう活動をしていると、しばしば「社会は理不尽なもの。無菌室で育てられたら社会に出られない」というレスをもらう。校則をなくしたぐらいで無菌室になるほど世界は甘くはないのだが、ともあれそうしたコメントの主は、なるほどヒドゥン・カリキュラムの効果を、身を以て証明してくれている。社会が理不尽ならば、かえるのではなく慣れることが大事なのだと、その人は学んでしまったのだ。

 ーーー  #荻上チキ 「みらいめがね2」 #2019/09/16

2023年3月19日日曜日

学校

 自分のことを守るためには「他人を適切に嫌いになる作法」が必要になると思う。教室という空間では、「みんなと仲良くしなさい」と言われるが、大人になってから、それは子どもを管理するための方便だったのだと知った。連帯責任という理不尽な罰則も、みんなの前で涙を流して反省させられるという羞恥刑も、教室という秩序を保つための儀式であって、人間である自分のために行われたものではない。

実際には、みんなが仲良くすることはできない。人は人を嫌いになるものだ。そして大人になるということは、嫌いな人と上手に距離を取る方法を学ぶことでもある。距離の取り方が不器用だと、人に生きづらさを押し付けることになる。

発達に凸凹がある、個性的な息子と娘。その振る舞いの全てが愛おしく誇らしい。息子も娘も、得意なことと苦手なことにムラがある。そうした個別の事情に、一斉授業を基本とする学校がミスマッチだなというのは、入学式の段階から悟ってしまった。上級生が「みなさん、にゅうがく、おめでとうございます(おめでとうございまーす!)」と唱和する。このマスゲーム。集団行動を求める謎の空間。昔から変らぬこの雰囲気。これを二人ができるようになるだろうか。いや、できるようになったとしても、それは何のためななのか、自分の学校後遺症が刺激される。

ーーー  #荻上チキ 「みらいめがね」 #2019/05/24



2023年3月17日金曜日

議会運営そして政治家賞味期限

まずは女性が立候補しやすい環境を整えることが必要です。たとえば県外視察という名目でゾロゾロみんなで観光旅行に行くとか、飲み会ばかりの「宴会政治」をやめる。

議会の運営を変えなければいけないですよね。(略)年4回定例会があり、1回の定例会が2週間から3週間、場合によっては1ヶ月ぐらいある。ウィークデーの10時から17時まで拘束される議会に、勤め人は出られないでしょう。

権力の座に長いことしがみつくものじゃないです。やはり長くいすぎると目が曇ってきたり性格が歪んできたりしますよ。私は、知事になる時10年を超えたらいけないと思っていました。

政治は完成ということはありえないですよ。日々、新しい課題が出てくるから、種をまいて何年か後に刈り取るという繰り返し。任期中に新しい課題が必ず出てくるので、また種をまくんです。その刈り取りを待っていたら永遠にやらなきゃいけない。だから栽培中のものは次に託すしかない。

---  #片山善博 #週刊金曜日 #1416号


アメリカの音楽家

「バカなアメリカ人にはなりたくない
メディアに支配されるような国はごめんだ
あのヒステリックな音が聞こえるか?
いつの間にかアメリカは頭のなかを操られちまっている」
( #グリーン・デイ Green Day 「American Idiot」から)

最悪の状況から最善を生み出したい。なにもしないで文句を言うよりも、なにか美しいものを創造しよう
(「Sweetener」から)

「先人に対して私たちが示すことのできる最大の敬意とは、彼らを超えることなのです。」
( #チャンス・ザ・ラッパー )

「強い影響力をもつあなたには、声を上げる責務があります。なぜなら、人々は感じていることを明確にするために誰かを必要としているからです。」
( #トレント・レズナー Trent Reznor)

「政治家が公職に就き続けるためには票が必要なのです。そして、その票は国民から与えられるものです。」
( #テイラー・スウィフト )

「SNSを見ていると”なんで飛行機を利用してる奴が環境問題についてあれこれ言えるんだ?”みたいな投稿をよく目にするけど、”私が黙っていれば満足?誰もなにもしなくてそれでいいの?”って思っちゃう。」
( #ビリー・アイリッシュ )

「権力を持つ者に疑問を呈し、異議を唱えることを恐れてはいけない。私は、子供たちにそう教えていきたい。彼らがすることを問い、監視する。それが愛国者です。」
( #マーティ・マグワイア )

「#マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師 は、非暴力の哲学と規律について話していました。
彼は私たちが不正を容認するとき、私たちはみな共犯であると言いました。
彼は、いつか良くなるだろうと言うだけでは十分ではないと言いました。
彼は、私たちひとりひとりが立ち上がって自分たちの意見を発言する道徳的な義務があると言いました。あなたがなにか正しくないことを見たときに、あなたは声を上げなくてはいけないと言いました。そして、なにかをしなければならない、と。」
( #ジョン・ルイス )

ーーー  #高橋芳朗 「ディス・イズ・アメリカ」 #2020/09/25


2023年3月6日月曜日

無知

私たちの社会は電気がなければ何もできない。電気はこんなにも身近なものなのに、結局、私たちが気にするのは電気代ぐらい。原発事故があったのに、依然として、電気の「コスト」について驚くほど無知で、無関心なままである。

牛は体重1キロを増やすのに、約10キロの穀物と2万2000リットルもの水が必要となる。

「結局はリサイクルされないものの方がサステナブル(持続可能)です。」( #皆川明 )

先進国がさらなる経済成長を求めることで、途上国の資源や労働力を奪っている。(略)途上国の人々は大量の二酸化炭素を排出していないのに、気候変動の影響を真っ先に受ける。彼らは先進国での政治的意思決定に関与もできない。これが「気候不正義」である。( #清野華那 :未来のための金曜日、FFF仙台)

繊維業の盛んな岐阜県にも多くの外国人がいる。つまり、「日本製」の洋服と言えば聞こえはいいが、その服を作っているのは、外国人技能実習生なのである。実際、メイドインジャパンなのに数千円の洋服を見たことはないだろうか。彼らはコストカットの「道具」であり、コロナ禍の不況で解雇される「雇用の調整弁」でしかない。

<明るいところから暗いところは見えへんけど、暗いところから明るいところは見える> (大阪住吉区 浅香地区)

復興とは「何事もなかった状態に戻す」ことではない。( #小松理虔 (りけん))

「成長と分配」のスローガンはたしかに魅力的だし、技術革新は便利で快適な生活を実現してくれるように見える。けれども、ウーバーイーツであれ、培養肉であれ、神宮外苑の再開発も、今のやり方の延長では、むしろ格差を広げ、自然を破壊し、消費的な生活を強化するだけの結果になってしまうのではないか。

命と自然を大切にしたいという思いで必死に有機栽培に取り組んできた人々が、再エネに反対しなければならないという悲しき構造を変えなければ、脱炭素化など絵に描いた餅にすぎない。

「男性優位がデフォルトの社会で、そうした社会に対する現状維持を意識的にも無意識のうちにも望むあまりに、想像力欠乏症に陥っている、そんな状態や人たちを私は「オッサン」と呼びたい」(「想像力欠乏症」 #佐藤千矢子 )

本当は「あるもの探し」をすべきなのに、いつまでたっても「ないものねだり」をやめないのは、過疎で苦しむ地方だけではない。欧米ばかりを見ている私も含めた左派も同じではないか。

 ---   #斎藤幸平  『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた 』 #2022/11/02


オリンピック って

 「もはやオリンピックのための開発ではなく、開発のためにオリンピックを口実にしたのではないか」( #原口剛 (たけし):神戸大准教授)

お祭り騒ぎに便乗して納税者に負担を押し付けながら、政府の大型支出により特定の企業が潤うという官民一体型プロジェクト「祝賀資本主義」 ( #ジュールズ・ボイコフ  )

選手たちは強さを価値だと見なすようになり、その結果、できない人々は劣った存在として差別されるようになる。コロナに感染した対戦相手のサッカー南アフリカ代表について、「(自分たちにとっては)得でしかない」と言い放った日本代表、久保建英(たてふさ)選手の言葉は象徴的だ。

---   #斎藤幸平  『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた 』 #2022/11/02


2023年3月2日木曜日

私たちの生活

「こんな社会を作ったのは誰でしょう?自民党?違う!違う違う違う!私たちだ!その責任は政治家だけじゃない!みなさんにある!僕にある!」( #井出英策 )

「本当は、個人の人生は社会と切り離せないんですよね。それを実感したり想像したりする機会が少ないだけで、投票率が80%を超える北欧諸国では、自分たちの政治参加で社会がどう変わり得るかを学校でも家庭でも徹底的に教えるんですよ。投票率が高い国って、権力にとって国民が脅威なので、必然的に政治が健全になる。」(小川)

「私が相撲のことを書き始めたとき、大相撲の伝統が~っと言ってくる『伝統が~っ族』にさんざん叩かれた。伝統という枠に私を入れ込もうとするので、うるせぇ~な~と思っていた。政治も同じだ。永田町とかいう固い何か木枠みたいなものを持ってきて、私たちをそこに無理やりはめこもうとする。でも、それは違う。そんな木枠は叩き潰していい。私たちは何にも縛られなくていい。私たちは、私たち自身を大切にしていい。私たちのあたりまえの感覚で、あたりまえの政治に触れ、参加し、語ればいい。政治は私たちの生活そのものなのだから、当然だ。」(和田)

---  #和田静香 / #小川淳也 『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』 #2021/12/27