2018年7月15日日曜日

疲れを知らないコンピュータ

「立場主義」は実のところ、すでに機能しなくなっています。なぜならば膨大な数の機械を人間が操作する必要がもうないからです。今ではその仕事を、疲れを知らないコンピュータがやるからです。立場を守るために果たすべき役が、もうないのです。にもかかわらず私たちの社会は、今でも「立場主義」で働いています。

---  安冨歩 『あなたが生きづらいのは自己嫌悪のせいである』 から

2018年7月1日日曜日

1たす1は

「例えば、絵本の中のくまさんが鮭1匹とマス1匹を食べたなら、物語の最後では必ず”まんぷく”になっている。あるいは、くまさん1匹ともう1匹のくまさんが出会ったら、蜂の巣は”からっぽ”になるはずだ。だから、1たす1の答えは”いっぱい”でいいはずなんだ。それなのに、一つの答えしか正確じゃなくて、他の答えは間違いだなんて、そんなの絶対おかしいよ」

「僕が欲しいものは、他人を叩きのめす力ではない。異質な物と、つながりを持てなくても、理解しあうことはできなくても、寄り添うことをやめないだけの足腰の強さと、感応できるだけの優しさだ。歳を取った人間の描く希望とは違うかもしれない。けれど僕たちは、それがあれば生きてゆけるのだ。敏感でやわらかな指先を、他者にむかってのばすこと、それが、僕にとっての希望なのだ。」

---  小野田由紀 『メゾン刻の湯』から