2022年4月18日月曜日

いくらでも変えられる

 法律や規則は、もともと誰か人間が作ったものですから、変えようとおもえば、いくらでも変えられます。

もし、法律や規則にふれさえしなければ、なにをしてもいいのだったら、法律や規則をかえられる力を持っている人間は、都合がわるくなれば、じぶんのやっていることはかえないで、法律や規則のほうを変えたら、それですむことです。いつでも、じぶんのやっていることは、法律や規則には少しもふれない。なんらやましいところはない、と大きな顔をしていられます。

(花森安治)

2022年4月17日日曜日

青い空が、タダだった

今年の正月、東京は晴れていた。
空が青かった。
むかしは、ほんとうに、空の色は、いつでも、こんなにきれいだったのだろうか。
信じられないくらい、青かった。
町に日が当たって、車がすくなかった。
ふだんの日曜日よりも、車は少なかった。
むかしは、たぶん、まいにち、東京の町は、こんなに、しずかだったのだろう。
(略)
むかしにくらべて、すこし、貧乏の度合が、ましになったのかもしれない。しかし、むかしは、あんな青い空が、タダだった。
ぼくら一人のこらず、青い空と、風にそよぐ樹木と、澄んで光る川を持っていた。

(花森安治)