2020年3月1日日曜日

目くらまし

 『花神』なんて小説がいかに間違っているかというと、侍同志でドッテンバッタンやっていることばかり書いているんだが、あの時期には百姓一揆がぐんぐん大きくなっているんだよ。それが全然出てこない。慶応3年なんて、ほとんど全国的に百姓一揆が起こっている。フランス革命と似たようなものが起こりそうになっているんですよ。それだから侍がああして荒れているんですね。高杉晋作にしても坂本龍馬にしても若死をするくらい焦りに焦っている。なぜああいう頭のいい連中があんなに焦っていたかっていうことですよ。 
 百姓一揆が全国的に起こって、革命が起きれば、武士階級なんてなくなっちゃうんだからね。武士階級を救うために徳川幕府を犠牲にしなけりゃならない。武士階級を救うためには天皇でもいいじゃないかという考え方だ。百姓一揆と町人の打ち崩しを”ええじゃないか”っていう方向へ巧みに誘導する。これは今、万国博覧会とか野球なんかに誘導しているのと似ているんですよ。大衆が何かを求めている、その本当の方向に到達しないように、考えることができなくなるようないろんな誘惑をやるわけだ。

ーーー 『羽仁五郎の大予言』から 

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