今、僕と同世代ぐらいの人たちと飲むと、その席で「オレも昔は学生運動をやっててさあ」とか「フォークソングか。なつかしいなあ。オレもやってたよ」などと言い出す人がけっこういたりいたりする。だけど僕が見るに、中途半端にかじったヤツにかぎってそういうことを言う傾向があるようだ。行くところまで行った人はまずそんな話をしない。
今でこそ伝統芸能と言われるものも、かつてはその時代のいちばん新しい芸能だったはずである。それが温存されるようになってしまったときから衰退は始まった。伝統芸能を守ることも大切かもしれないが、ただ守られるだけのものはいずれ死んでいく運命にある。
世の中には、一銭も持っていなくても、路上で生活していながらも、それでも明日を生きようとしている人がいくらでもいる。彼らはまだまだ生きたいと思っている。まず今日を生きることが先決なのだ。
ナルシスト的な美意識を持って死んでいく者より、這いつくばってでも生きようとする者のほうを評価したい。それは深沢七郎さんの死生観にも通じると思っている。
--- バーボン・ストリート・ブルース 高田渡 から
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