2012年8月4日土曜日

会社人日本

われわれヨーロッパ人には一定の生活パターンがあり、それは”市民”として果たすべき義務に従って構成されている。すなわち市民たるものは三つの義務を応分に果たさねばならない。
  一つは、職業人としての義務であり、それぞれの職業において契約上の責任を果たすことである。二つは家庭人としての義務であり、職業人として義務を遂行したあとは家庭に帰って妻子と共に円満にして心豊かな家庭生活を営み、子女を訓育すること。三つには、それぞれの個人として地域社会(コミュニティ)と国家に奉仕する義務である。
  これら三つの義務をバランス良く果たさないと、われわれは”市民”としての資格を失う。

(略)

  ユーロッパにも、市民としての義務を一部免除された人たちがいる。軍人と警察官と囚人である。しかし、あの人たちは、囚人ではあり得ない。警察官でもない筈だ。とすれば最も近いのは軍人であり、彼らが属する組織は軍隊に似たものであるに相違ない。  われわれは先に言った三つの義務を果たしながら通常の生活を営む市民である。彼らは仕事のみに全生活を捧げる一種の軍人である。

 (略)

 彼らはヨーロッパに来てヨーロッパのルールを無視しているが、これはアンフェアだと思う。  軍隊と市民が闘ったら軍隊が勝つことは明らかである。このような競争はアンフェアであり、アンフェアな競争の結果としての勝敗もアンフェアだと思うがどうか。

   --- 逆命利君 (佐高信) 『欧州共同体のある役員」 から

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