2022年6月12日日曜日

好きだからやっているだけ

 世間の一方的な区分けをさまざま見せつけられるとき、自分たちの属しているチームと自分たちがそこでしている趣味の活動が、領域を蹴散らし、境界を曖昧にするのに一役買っているという自覚が生まれる。私たちが今やっている運動が「運動」になる瞬間だ。日常で個人が偏見と闘うためにできる運動とは、結局のところ偏見の対象を減らすことではないだろうか。「女子が〇〇をしてるだァ?」という文の〇〇に入る単語の数を減らすような。私と私のチーム、そして多くの女子サッカーチームの仲間たちは、〇〇から「サッカー」という単語をなくそうとしていることになる。
 本当はただサッカーが好きだからやっているだけで、それがたまたま運動になっちゃうわけだが、考えてみれば運動というのはすべてそういうものだろう。

--- キム・ホンビ 『女の答えはピッチにある』 20200810



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