量産ということが人と器物の仲を変えた。
プラスチックなどの新しい素材がそれを推し進めた。
我々はもう物を直さない。
器物は買って、しばらく使って、壊れたら、汚れが目立つようになったら、古びたら、より高性能の新製品が市場に出たら、捨てるものになった。
新品という歯切れのいい言葉ばかりが重用される。
身辺のどの器物にも歴史がない。
どれもが昨日来たような顔をしている。むしろ古いものは肩身が狭い。
-- 池澤夏樹「異国の客」修理するアフリカ人、翻訳文化、フランスの変化 から
池澤夏樹
森の中に住む猫の頭の片隅にあること。
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