2013年11月27日水曜日

表現する者

現状に異議を唱えず、できれば事を荒立てずに暮らしていきたいと思うのは、どの人も同じだろう。だが、表現者であるミュージシャンが判で押したように『自分達にできるのは歌うことだけ』と話し、アスリートたちが『頑張っている姿を見せて少しでも元気になってもらいたい』と口にするのを聞くと、気持ちは十分に分かりつつも、微かな違和感を覚える。本当にそれが一番大切なことなのか、もしかして、その言説に逃げ込んでしまってはいないか。歌であれ文学であれスポーツであれ、表現とは本来、もっと現実に向き合う力を持ち得るはずだ。

   ---  『ひとり舞台』 山本太郎 から


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