「波がきたら、他人にかまっちゃいられないから各自てんでんばらばらに一人で逃げなさい」
「自分の命は、自分の責任で守りなさい」
原発のような事故に直面して、そこから学ぶべき教訓とは、誰もが逃げ出したときに制御不可能になってしまうような、そのような巨大なリスクを、わたしたち人間の手でつくり出すべきではないということです。
時間と年齢は誰にでも平等に訪れます。かつて強者であった人も自分が弱者になる可能性に、想像力を待たなければならない時代が、超高齢化社会だと思います。わしたちは、弱者になるまい、ならない、というような努力をするくらいならば、むしろ誰もが安心して弱者になれる社会をつくる、そのための努力をしたほうがマシなのです。それがあの震災がわたしに教えてくれた教訓でした。
--- 上野千鶴子 「生き延びるための思想 新版」 から
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