2021年6月29日火曜日

少しの想像力

放射能汚染が拡大すれば、首都圏にいるひとたちもいずれ覚悟を決めなければならないことであった。配給の食事を何でも食べられること、体育館の硬い床の上でも眠れること、苛立ちや怒号がともすれば衝突するその場所で事件が起こらないよう心を配ること。じっさい、原発事故周辺地に住むひとたちは、生活の場を奪われ、職業を奪われ、自治体までも奪われた。そして少し想像力を働かせれば、それは全国で稼働する原発の周辺でも起こりうることだとわかる。

---  鷲田清一 『しんがりの思想』

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