2018年8月25日土曜日
2018年8月4日土曜日
血盟団事件とは一体、何だったのか
事件の背景には、経済的不況による庶民の生活苦があった。大洗の青年たちは、農村社会の疲弊に直面し、苛立ちを募らせた。仕事を求めて東京に出ると、そこでも下町の苦境に直面した。
一方で、巷ではエロ・グロがブームとなり、繁華街ではカフェ遊びが流行していた。そこでは地方から売られてきた女性たちが、小金を持った男たちの欲望の対象となっていた。格差社会は拡大し、弱きものは困窮から抜け出せなかった。
しかし、政治は無策だった。既成政党はお互いに足を引っ張り合うばかりで、有効な政策を打ち出せなかった。さらには、汚職事件が次々に発覚し、政治不信は頂点に達した。
一部の特権階級は、相変わらず優雅な生活を送っていた。財閥は資本を独占し、庶民との格差は広がりつづけた。人々は既得権益に対する不満を高め、救世主を待望するようになった。
暗い世相と時代の閉塞感の中で、若者たちは煩悶(はんもん)を肥大化させていった。井上日召が苦悩を抱え込んだのは、二十世紀の初頭だった。
--- 中島岳志 『血盟団事件』 から
一方で、巷ではエロ・グロがブームとなり、繁華街ではカフェ遊びが流行していた。そこでは地方から売られてきた女性たちが、小金を持った男たちの欲望の対象となっていた。格差社会は拡大し、弱きものは困窮から抜け出せなかった。
しかし、政治は無策だった。既成政党はお互いに足を引っ張り合うばかりで、有効な政策を打ち出せなかった。さらには、汚職事件が次々に発覚し、政治不信は頂点に達した。
一部の特権階級は、相変わらず優雅な生活を送っていた。財閥は資本を独占し、庶民との格差は広がりつづけた。人々は既得権益に対する不満を高め、救世主を待望するようになった。
暗い世相と時代の閉塞感の中で、若者たちは煩悶(はんもん)を肥大化させていった。井上日召が苦悩を抱え込んだのは、二十世紀の初頭だった。
--- 中島岳志 『血盟団事件』 から
2018年7月15日日曜日
疲れを知らないコンピュータ
「立場主義」は実のところ、すでに機能しなくなっています。なぜならば膨大な数の機械を人間が操作する必要がもうないからです。今ではその仕事を、疲れを知らないコンピュータがやるからです。立場を守るために果たすべき役が、もうないのです。にもかかわらず私たちの社会は、今でも「立場主義」で働いています。
--- 安冨歩 『あなたが生きづらいのは自己嫌悪のせいである』 から
--- 安冨歩 『あなたが生きづらいのは自己嫌悪のせいである』 から
2018年7月1日日曜日
1たす1は
「例えば、絵本の中のくまさんが鮭1匹とマス1匹を食べたなら、物語の最後では必ず”まんぷく”になっている。あるいは、くまさん1匹ともう1匹のくまさんが出会ったら、蜂の巣は”からっぽ”になるはずだ。だから、1たす1の答えは”いっぱい”でいいはずなんだ。それなのに、一つの答えしか正確じゃなくて、他の答えは間違いだなんて、そんなの絶対おかしいよ」
「僕が欲しいものは、他人を叩きのめす力ではない。異質な物と、つながりを持てなくても、理解しあうことはできなくても、寄り添うことをやめないだけの足腰の強さと、感応できるだけの優しさだ。歳を取った人間の描く希望とは違うかもしれない。けれど僕たちは、それがあれば生きてゆけるのだ。敏感でやわらかな指先を、他者にむかってのばすこと、それが、僕にとっての希望なのだ。」
--- 小野田由紀 『メゾン刻の湯』から
2018年4月29日日曜日
平和をまもりたいなら
もし、お前が、
平和をまもりたいと
本気でねがうのなら、
お前にはっきり言っておきたい。
卑怯者といわれ、意気地なしとののしられ、
ときに、非国民と罵倒されても、
歯を食いしばって、がまんするのだ。
それは、辛いことだ。
男としては、じつに耐えがたいことだ。
しかし、それをがまんしなければ、
日本は何度でも、おなじあやまちを
くり返しそうな気配がするのである。
--- 花森安治 『灯をともす言葉』 から
平和をまもりたいと
本気でねがうのなら、
お前にはっきり言っておきたい。
卑怯者といわれ、意気地なしとののしられ、
ときに、非国民と罵倒されても、
歯を食いしばって、がまんするのだ。
それは、辛いことだ。
男としては、じつに耐えがたいことだ。
しかし、それをがまんしなければ、
日本は何度でも、おなじあやまちを
くり返しそうな気配がするのである。
--- 花森安治 『灯をともす言葉』 から
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