「済んだことは忘れよう、新しい立場で仲よしになろうではないかと言う日本人がいるが、忘れようと言えるのは自分たちだ。日本人が忘れようなどと言うのはおかしい」
「過去の悲痛な記憶は早く忘れたい。しかし、日本人が自分でかちとったものでもない与えられた平和と人権に浸って、今日までの行為をないがしろにし、恬然(てんぜん)としているのを見ると、我慢ができない。そんな時、日本へのなごやかな感謝は急に冷めてしまう。そして日本軍に追われ、血まみれのはだしで、飲まず食わずにジャングルをさまよったことを思い出す。怖い日本兵の顔が浮かんでくる」
「自分は赤ん坊の頃から、両親に叱られる時は、きまって”日本人が来るぞ”と言われて育った。こうして育った情感は、おいそれとは消えない。これは日本人にはわからないだろう」
(穂積五一を慕うアジア留学生や研修生)
--- 『黄砂の楽土』 佐高信 から
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