原発に反対する人はしばしば、「福島原発事故は共同体を破壊し、家族を破壊した」と指摘する。しかし実のところ、原発事故が破壊したのは「政府や科学技術への信頼」という「人知」にもとづいた「かりそめの共同体」に過ぎない、と言うべきかもしれない。そもそも反対意見の封じ込め、排斥し、地域振興とばかりに10基もの原発を地域内に招きいれ、いつ起こるとも知れない事故と隣りあわせで、いかに「平和」な「地域社会」や「家族」を作り出しても、それは「砂上の楼閣」のごとき「見せ掛け」であることを我々は認めなくてはならない。現代日本社会はまさに、この「砂上の楼閣」を「繁栄」であると読み替えてきたのである。
--- 深尾葉子 『魂の脱植民地化とは何か』から
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