2023年2月1日水曜日

脱成長

「あなたたちが科学に耳を傾けないのは、これまでの暮らし方を続けられる解決策しか興味がないからです。そんな答えはもうありません。あなたたち大人が、まだ間に合うときに行動しなかったからです。」( #グレタ・トゥーンベリ )

人々は、理想の姿、夢、憧れを得ようと、モノを絶えず購入するために労働へと駆り立てられ、また消費する。その過程に終わりはない。消費主義社会は、商品が約束する理想が失敗することを織り込むことによってのみ、人々の絶えざる消費を駆り立てることができる。「満たされない」という希少性の感覚こそが、資本主義の原動力なのである。だが、それでは、人々は一向に幸せになれない。

ある工場で新技術が導入され、これまで10人で行っていた作業がひとりでできるよになったとしよう。そのとき、生産力は10倍に上がっているが、労働者個人の能力が10倍になったわけではない。労働者9人分の仕事を化石燃料のエネルギによって置き換えているだけである。労働者という賃金奴隷の代わりに、化石燃料という「エネルギー奴隷」が働いているのだ。
「緑の経済成長」を目指すグリーン・ニューディールも、ジオエンジニアリングような夢の技術も、MMTのような経済政策も、危機を前にして常識破りの大転換を要求する裏では、その危機を生み出している資本主義という根本原因を必死で維持しようとしている。

#斎藤幸平 #人新世の資本論 #2020/09/23

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