2021年11月6日土曜日

生まれた時からそういう時代だった

 自己責任論に影響される若い人たちのメンタリティが私にはこう見えます。お金を儲けた者、成功した者の言動に賛同することで自分を一体化させて自己万態感、自己肥大感に浸る。そういう人の特徴は、成功者の失敗には非常に優しいですが、社会的要因つまり自己責任でない原因で敗者になった人間には厳しいこと。勝者にやさしく敗者に厳しくというのは、本当に守るべきものは何なのか、誰なのかを完全に見誤っています。
 若い人が昨今の新自由主義社会の価値観しか知らない世代なので、あるいは仕方のないことなのかもしれません。先ほど述べた排除アートが現れ始めたのは1990年代後半からでした。そうすると今のだいたい20歳後半より下の人は、生まれた時からそういう時代だったのです。

自己啓発やサクセスものビジネスセミナーなどに影響される若者は、大人社会の反映のように私には見えます。若者は、実は社会の鏡なんですよね。年配者や大人以上にフィルターなしに社会の風潮を全身で受け止めてしまっているんですよ。 


----  林克明 『渡辺てる子の放浪記』



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