戦後、日本は激しく揺れ、変わってしまったが、これがもしも、日本中どこも戦災にあわず、どこも焼けなかったとしたら、それでも、こんなふうに、すっかり変わってしまっただろうか。
自分の家も、となりの家も、向かいの家も、町全体が、むかしとおなじで、それを朝から夜まで、くる日もくる日も見て暮らしていたら、気持ちや考え方だけ変えるというほうが無理というものかもしれない。居ハ心ヲ移スという。住んでいるところが変わらなければ、心も移しようがなかろう。
--- 花森安治 「花森安治選集2 (水の町 日本紀行)」
森の中に住む猫の頭の片隅にあること。
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